カラオケにまつわるちょっと不思議な話

最近、急にカラオケが上手になってきた。きっかけはカラオケサークルに入ったことだ。

初めてカラオケに行ったのは20歳の時だった。大学の友人に連れられて行ったのだが当時私はカラオケに対してはかなり苦手意識があった。人前で歌を歌うのが恥ずかしかったからだ。

しかし、お菓子やジュースを持ち込んで、友人達と肩を組んだりしながら大声で歌うのはとても楽しかった。それから私はカラオケが大好きになり、仲のいい友人と毎週末のようにカラオケに出かけるようになったのである。

カラオケのレパートリーを増やすために色々な音楽を聴く。そして、そのころカラオケにアニメの動画が流れるようになり(画質は荒かったが)、私たちはアニメオタクだったのでいっそう週末深夜のカラオケ大会は盛りあがったのだった。

すると当然、もっと上手に歌いたいという欲求が湧き上がってくる。

そのころハマっていたアニメ作品があり、布教活動としてオープニングテーマやエンディングテーマをカラオケでよく歌っていた。が、私が失笑モノの音痴なので全く歌の良さが伝わらない。

それどころかファンの私自身が作品を冒涜しているような気さえしてくるのである。歯がゆさのあまりデンモクに頭突きを食らわしそうになったことも1度や2度ではない。

そして、私は社会人になり通勤用に車を手に入れた。

そこで本格的にボイストレーニングをしてみよう、と思い立ったわけである。

とはいってもレッスンに通うほどのお金はなかったので、ボイストレーニング関連の本やCDを買いあさった。そして夜な夜な車を農道の端っこに停めて声出しをしていた。

しかし結果は芳しくなく、私は相変わらず音痴なままだった。

そもそも音楽的センスがなかったせいか、それともやり方を間違えていたのか、練習すればするほどかえって声が出しづらくなる。

カラオケどころか日常生活でさえ、急に声が裏返ってしまったり、異様にこもってしまって聞き返されたりと散々なことになっていた。

それでも何故か私は、惰性で我流のトレーニングを続けて気が付けば10数年が経っていたのである。

そしてここからが本題なのだが、冒頭に書いた通り最近私は社会人のカラオケサークルに入った。

サークルに入るほどのカラオケ好きが集まっているということは当然、歌唱力の方もセミプロレベルがごろごろいるのだろう。

依然、私の歌はド下手糞だったのでそんな人たちに混ざって歌うのは抵抗があったが、周りの友人たちもみな忙しくなかなか予定が合わない。一人カラオケもマンネリだったので思い切って入会してみたのだが、思った以上にみんな上手な人ばかりで驚いた。

ちなみに、歌は女性の方が上手な人が多いイメージがある。

裏声と地声のギャップが少ないからとは言われているが、確かに私を含め、周りの友人たちは普段の喋り声のままで歌っている人が多かった。そのためサビや高いところに上手く声を合わせられず、音痴になってしまう。

しかし、サークルに在籍していた男性メンバーは総じて音域が広かった。ヒゲダンやミセス、果ては女性ボーカルの歌を女性のキーで歌ったりもするのである。バケモンかと思った。

私の方はと言えば、ハイロウズを入れたはいいが上手く歌えず途中で演奏停止ボタンを押すような体たらくだった。しかし何度かサークルのオフ会に参加するうちにある変化を感じ始めた。

あれ?なんか俺歌上手くなってね?

気のせいかと思ったが、しかし明らかに今までよりも高い声が出しやすくなっている。

さらに、頭でイメージした音程にビタッと声を当てられるようにもなっていた。

自分の歌声を録音すると、その場では上手く歌えているように感じるが、しばらく経ってもう一度聴くと悪い意味で鳥肌が立ってしまう。

が、最近は一晩たっても普通に聴けるようになっていたのだ。これは素直に感動した。

恐らく狭い空間の中で、自分以外の全員が引くほど歌が上手いという状況だったため、つられて自分のレベルも上がったのではなかろうか。引っ張っておいてオカルトみたいな結論で申し訳ない。

しかし、上手い人の歌を間近で聴くのは刺激にもなるし勉強にもなる、ということは確か。

カラオケで伸び悩んでいる人には是非おすすめしたいと思う。

YouTubeのボイトレ動画もいいが、百見は一聞にしかず、ということもあるかもしれない。

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